映画が本当に素晴らしくて、最初観た後は愕然として何も手につかなくてとても絵なんて描くテンションじゃなかったけど(あとこれスクリーンで観たかった〜!!と悔やんだ。いつか再上映あったら行きたい)、コメンタリーだと当たり前だが入り込まないで結構冷静に観れて、しかもものすごく面白いコメンタリーで何回も爆笑した!あの映画であんなに爆笑するとは!!
柚木さんは作家としてはもちろんのこと、エッセイコラムや日々のツイッターもものすごく面白くて大好きだったし、作家というジャンルに限らず「今現在の日本で何かを発表している人」の中で最も「同世代感」を感じる女性で単純にそのセンスが好みだから、「自分の好きな映画を、好きな人が解説してるコメンタリー」というよく考えたら結構レアなパターンだった。
大体映画のディスクの副音声コメンタリーって普通出演者や映画関係者がやってるし、そもそもコメンタリーというもの自体数えるほどしか聴いたことないが。
(今思い出せるのは「ジョゼと虎と魚たち」の妻夫木と池脇千鶴ちゃんのと、「パビリオン山椒魚」の冨永監督と菊地さんのコメンタリー。前者は映画の世界が好きすぎるから中の人的なこと別に知りたくなかった・・・と思ってちょっと後悔したけど、後者はこの「5つ〜」以上に爆笑した最高におもろいコメンタリーだった)
↑コメンタリーでの二人の発言をちょこちょこメモったが、小西彩乃さん演じる都(ミヤコ)の顔力にとにかくハマった柚木さんが「香川照之クラスの顔力!」と断言していたのが印象深い。柚木さんの中で香川がいかに大きな存在であるかを知っている人間ならこの発言が物凄く褒めているということがわかるけど、普通まじかよってなるだろうし何より小西さんはどう思ったのだろうか・・・(普通にウケる〜と思ってそうだけど)。
あと、映画を観た時に特に台詞のやたら長ったらしくて哲学的な感じが「70年代の少女漫画みたいな世界!」「大島弓子先生が好きな人は絶対ハマる」と思ったが、全く同じことを柚木さんも言っていた。具体的な漫画家名は出していなかったけど(『24年組』というワードは出ていた)監督もよくそう言われると言ってたし、みんなが感じる事なんだろうな〜。
あのやたら長い台詞が心にハマるかどうかで、この映画の好き嫌いが分かれそう。ダメな人は全くダメか、ただ綺麗な女の子たちが写ってるプロモーションビデオとしてしか楽しめなさそうだな〜と思った。
監督も言っていたけど、5人全員が自分と真逆と言ってもいいくらいかけ離れた役柄を演じているのが素晴らしかった。
「与えられた役柄」という型にはめられる事によって逆に溢れ出る女の子たちの表現力の豊かさと、女子校という閉鎖的な世界に閉じ込められた女の子たちのはみ出しまくるエネルギーが完全に呼応していて、宣伝や予告を観た時もっと淡々とした映画かなと思っていた予想が良い意味で裏切られた。
そんなぼんやりとした予想の遥か向こうに行っていた、もっと生々しい世界だった。
監督が「身体が(この役の感じを)発していた」「肉体が表してる」と何度も言っていたのも印象的。
ガラスの仮面(全ての事をガラかめで例えようとする癖がまた…)の、「狼少女ジェーン」の配役を演出家の黒沼が俳優でない一般の人から募集して、プロの俳優には出せない「その人自身が発している役にふさわしい空気」だけを指標にオーディションで選ぶというエピソードを思い出した(←まるで本当にあった事のように書いてるけど勿論マンガの中の話です)。
女子流ちゃん5人は台詞まわしとか技術的な面ではぜんぜん上手じゃないし役者としては素人同然だと思うけど、やっぱり小さい頃からずっと人前でステージに立って表現してきた人達の、体や表情のバリエーションの豊かさは本当にすごい。勿論全員掛け値なしの美少女なのは言うまでもない事だが、ただ綺麗な人を映してるだけじゃない、この時の5人にしか表せない世界が完璧に作り込まれていた。
しかし、私は女子流ちゃんのライヴをまともに観たことがほとんどない(TIFの野外ステージですごい後ろの方からとか、エビ中との合同リリースイベントの時とか)上に、彼女達についての知識もほぼゼロ(有名な曲と、それぞれの名前と顔とざっくりしたキャラクターぐらいしか知らない)という状態でこの映画が自分のド真ん中にハマってしまったため、「映画の役以外の彼女たち」(つまり現実の『東京女子流』としての彼女たち)が受け入れられなくなりそう。
私立手越女子高等学校のあの5人は映画の中にしかいなくて、現実では役とは真逆のキャラクターのあの子達が清く正しいアイドルとしてニコニコ笑ってるんだ・・・と思うと辛くて特典映像の座談会はまともに見られなかった。
(我ながら気持ち悪いな)
そんで、明日(12月7日)は山戸監督の新作映画「おとぎ話みたい」のイベントで、
女子流の新井ひとみさんが、斉藤りこ(「5つ数えれば〜」での役名)として映画の中の女子高制服衣装を着て(!)トークショーにゲスト出演するという日。
私は3列目の席を確保したので、あの素晴らしい制服姿をしっかり目に焼き付けてこようと思う!
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