2014年5月4日日曜日

桜の向こうのエビ中ちゃん




2014年4月15日、私立恵比寿中学の武道館公演
「私立恵比寿中学合同出発式〜今、君がここにいる〜」
が開催、
このライヴをもって出席番号1番・瑞季、出席番号4番・杏野なつ、出席番号8番・鈴木裕乃が転校。
また、出席番号11番・小林歌穂と出席番号12番・中山莉子が転入し、この日のアンコール後に一度だけ、11人でのライヴがあった。

わざわざ改めてカタく書いてみたのは、この日のライヴが「卒業式」と「転入式」を合わせた「合同出発式」として本当〜〜〜によく出来ていたから!
エビ中は名前からして学校名だし、最近の衣装とかビジュアルは制服っぽくないものも多かったけど(シングル「未確認中学生」はセーラー服だったが)そもそもコンセプトとして「学校感」とか「クラス感」をメインに据えていて(今回、3人が転校した後今までのメンバー6人だけで続けず2人の転入生を入れたのも、6人だと「クラス感」が出ないからとマネージャーの藤井校長が発言している)、こういう大きな会場の節目のライヴで、武道館という会場を使って見事なくらいに「学校感」が出てた。
まず入ってすぐ目に入る、沢山の桜の木(造花)と学校の体育館によくある重たい臙脂色の幕がステージ上や周りにあった。
勿論普通の体育館に桜は咲いてないが、この舞台美術の造り方を見ただけで泣きそうになった。ここが卒業式と入学(転入)式が同時に行われる舞台なんだ、ということが誰でも一目でわかるようになっていたから。

ライヴの日から3週間近く経ってからやっとブログを書き出せたのも、時間が経たないとこのように客観視できなかったからで、観た直後は只々「アイドルのライヴとして完璧に素晴らしいものを観られた」という気持ちと「もうこんな思いは二度としたくない」という気持ちとの鬩ぎ合いで、ライヴを観たというより、物凄く長いひとつのドキュメンタリー映画を観た、しかもスクリーンの上じゃなく目の前で起こっていたというような感じだった。
その意味で、長く濃い夢を見た時にも似ていたが、確かに生きて動いている女の子達が同じ空間に存在していたし、自分以外の多くの人がそれを観ていたというのが不思議にすら感じられた。

私はスタンド席の2階で、はじめチケットが届いて席を確認した時は「裕乃ちゃん最後のライヴがこの席かよ〜〜〜」とガックリきたが、実際に行ってみたらステージ下手側に近く(その為、武道館の構造上ステージの下手端っこにメンバーが来ると死角に入ってしまい見えなくなって寂しかったが)、そこまで遠く感じないしスクリーンも近かったので映像が見やすかった。
このスクリーンがまた「武道館クラスでこの大きさ?!」と思うくらい小さくて、私の席は見やすかったけど、後方の席の人はスクリーンを双眼鏡で見たと言っていたほど。
予算的に仕方ないのだろうけど、もうちょっと大きくしてくれればな〜とは思った。
ライヴ中の表情などが観れないのも残念だけど、冒頭のオープニング映像が、もう本当〜〜〜に素晴らしかったから・・・!
全てのエビ中ファンが涙せざるをえないショートムービーだった。
内容は何てことない、メンバー9人が通学路のような道路でそれぞれバラバラに歩いていたりすれ違ったり出会ったりしながら、転入生の校内放送(新メンバー2名の使い方も本当に良かった!!)が流れる学校の校庭で集まって、その校庭には「エビ中ファイト!」と書いてある、というだけのものなんだけど、この冒頭の映像で、既に大泣きした。
しかもポロポロ泣く、とかのレベルじゃなくもう、ウエーン!と声あげるくらい泣いた。
はじめっからこんな泣いて大丈夫かと思うほど。
画面の小ささとか設備的な事にはそりゃ色々文句あるだろうけど、全エビ中ファンが絶対に喜ぶ(と思う)、ものすご〜く愛に溢れた素晴らしい映像だった。

(全く同じというわけではないが、1stワンマンの映像がモチーフになっていた)





セトリなどについては既にナタリーまとめサイトなどに上がっているので省いて、私が感じたことのみ書くが(いつもそうだけど)、
とにかくま〜、この日のために双眼鏡をレヴェルアップさせたのが、本当〜〜〜によかった!!!(ものすごく個人的なこと)



忘れられないのは、なんと一度だけ双眼鏡越しに裕乃ちゃんと目が合ったこと・・・!
双眼鏡越しではあるが本当にバチーッと合ったので、すげ〜びっくりして思わず声に出して「ウワッ!」と叫んでしまったのだが、それで隣の人がビクッとしてたのを何となく憶えている。(別になんでもない場面だったので、隣の人も「え、何?」と思ったのだろう)
たとえ双眼鏡越しでも、ステージ上のアイドルと目が合う(=レス)というのは本当に特別で印象深い出来事。私は普段そんなにレス厨じゃないけど、「アイドルのライヴ」において重要な要素なんだなと改めて思った。

舞台セットはこんな↑感じで、後ろの建物は学校の形をした船にも見えた。
それもまさに、出発=出航というテーマにぴったりだな〜と思った。
また、エビ中の前に、自分が最後にこの場所で観たライヴは
東京事変の「Bon Voyage」
で、これもまさに解散ライヴで「旅立ち/出航」をテーマにしていて、衣装やグッズはマリンテイストでオーケストラ楽団は水兵さんコスだったし、その日の事とこの船(の形の学校)が重なって、武道館=船のイメージが自分の中につきそうだな〜と思った。
↑の絵のように私の位置からはちょうどスピーカーで見えなかったが、あのあたり(学校の校舎でもよく時計のある位置)に時計があり、曲に合わせて時刻が変わっていっていたらしい。その細かいこだわりも(見えなかったけど)素敵だったなァ〜。



そしてオープニング映像だけでなく、はじめの衣装もエビ中結成時の衣装がモチーフになっていて、これがまた本当〜〜〜に可愛かった!!!!!
衣装は↑を含む3種類だったが、3つとも細かいところ(素材感)までとてもよく出来ていて、最高に可愛かった。


あとすごいどうでもいい事でなぜか印象深いのは、
主にずっと双眼鏡で裕乃ちゃんを追いながら観ていたけど、どうしても踊りたくなる曲では双眼鏡から目を離して踊りつつ観ていたのだが、隣の人(男性)がほぼ全曲完全に振りコピしていて、たまに自分が振りがあやしい所(これ、手どっちに上げるんだっけな〜というような所とか)で、ついうっかり参考のため隣の人を観てしまったりしたのだが、
なんでエビ中観に来てるのに隣のおっさんを見てんだよ!!しかもこんな一瞬も目を離せない大切なライヴで!!!
と、自分で自分にツッコミたかった。
おっさんじゃなくてもしかしたら自分より若かったかも(顔は全然見ていない)。


そして自分がこの日一番泣いたのは、やはり転換タイムに流れた、転校する三人から他のメンバーへの発表があったその時の映像。
発表の時、みんな勿論ワンワン泣いていたけど、その時の安本さんの本当にショックな事があった時にしか出ない人間の表情、壮絶だった。
本当にこの子は大丈夫だろうか・・・ときっと誰もが胸が痛くなったところで、なんと、二部の幕開けが安本さんソロ曲、「またあえるかな」・・・!
「あなた」と離れてもまたあえるかな、きっと今同じ気持ちだよね、という内容のこの歌を、屋根の上に腰掛けて、全然震えてないしっかりと明るく伸びやかな声で歌っていた・・・!
この演出本当に凄いな〜〜〜と思った。
安本さんの歌手としての力量も。
観客はついさっき転校発表の日と、結成時から現在までを振り返る映像を観たばかりで、最大限にしんみりとした空気になっている中、安本さんの歌声が響き渡って、衣装も変わり、前半のただただ楽しいライヴから一気に「転校セレモニー」のモードに。
この時は完全に気持ちが持っていかれてたけど、今冷静に振り返ってみても本当にここの流れ美しかったな〜と思う。
この後に、
「フレ!フレ!サイリウム」「約束」の後に、転校する3人からの挨拶。
(裕乃ちゃんの歴史に残る珍妙なコメント、翌日のワイドショーで長く取り上げられてたなァ)
そしてこの日のために作られた曲をサプライズで披露、というところ。
桜の向こうに去りゆく三人の姿。

は、もうず〜〜〜っと泣きながら見ていて途中呼吸が苦しいくらいになり、呼吸できなくて胸が痛いのか、今のこの状況が辛くて胸が痛いのかマジで区別がつかなくなった。
そして今まで涙を流した他のどんな状況でも、このような気持ちになったことはない、と思った。
たとえば素晴らしい音楽のライヴを観て涙が出る時は、もっと無意識的な感じで気がついたら泣いていた・・・という泣き方で、
なにか悲しいことがあって泣く時は、目の前のことが自分に及ぼす影響が辛くて泣く。
また、何かの虚構(小説や映画やドラマなど)で泣く時は、その物語に感情移入して泣く。
武道館でのこの瞬間は、明らかに今目の前で起こっていることが辛くて、裕乃ちゃん行かないでーーーと思って泣いているのだが、それはあくまでもエンターテイメントのショーの一部であって、自分の人生と直接の関わりはないはずなのに、とても「自分、物語に入り込んでる〜」と客観的に捉えられる状態ではなかった。
もともと彼女達が立っている場所は虚構のステージだが、その上から三人が去るということは現実。
ももクロからあかりんが脱退した時は、私はその脱退公演をライヴで観ていなくて、既にDVDという虚構になっていた。
そのDVD映像も何度も観ては泣いたが、やはり、目の前でこういう事が起こるというのは全然違うんだと改めて思った。

「イッショウトモダチ」で桜吹雪が舞い、最後に11人で「また明日」を披露し、転校する三人がステージから去った。
しかも、中央の扉から去らず、桜の木の向こうに去って行った・・・!
桜の木それ自体が虚構っぽいのに、更にその桜の木の造花、その向こうに三人は消えていって、虚構の世界を後にした。
私にはそのように見えて、何て完璧な演出かと思った。
その後もエビ中の世界は続くので、新メンバー・かほりこちゃんの挨拶の途中に校長からのサプライズ発表があったり、ドタバタコント的終わり方で、しんみりと終わらないところもよかったが、とにかくこの、
桜の向こうに少女達が消えてゆく光景
を、演劇でも映画でもドラマでもないがそのどれでもあるとも言える、虚構と現実の合間のような形で目にしたことが相当ショックがでかく、この後何日も引きずったし、今も引きずっている。

私にとっての私立恵比寿中学のピークが間違いなくこの日の公演だった。
また新しい物語が始まり、こんな素晴らしいものを作り上げたエビ中がこれからどんな形になっていくのか興味深いし、ゆったりと観て行こうとは思っているけど、もうこんな風に物凄く思い入れて観ることはないんだろうなと思う。
新メンバー2人のことはまだよく知らないが、ほかの6人のことも本当に大好きだし、1人1人がとても魅力的な子だと思う。
もう既に新生エビ中は走り出していて、新曲のツアーも始まっているが、少女達の走り出したスピードに私のようなおばあちゃんの心はまだ追いつけない。







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