2012年11月24日土曜日

きみは永遠に死なない




 twitterで「花園神社酉の市の見世物小屋に新キャラが登場していた」(新キャラというか、正確には以前から居た演者のアマゾネス・ピョン子ちゃんが新しい芸を始めたということだった)というツイートを見て気になって、先日の二の酉の夜に久々に見世物小屋見て来た!
物心ついたぐらいから見世物小屋の世界にずっと憧れてて、自費出版の物凄く高い見世物小屋の看板絵を集めた画集を誕生日に親に買ってもらったりしていたが(オール見世物:珍奇世界社・刊:現在は絶版。ほんとあの時買ってもらっててよかったわ〜〜〜!)、実際に見世物小屋の現場に行けたのは成人して以降、大学の友人達とワイワイ言いながらそれも花園神社の酉の市に行ったのが1回だけで、今年でたった2回目。

そして初めて行ったその時に出会った、蛇喰い女の小雪ちゃん(写真)が、超〜〜〜妖艶な美女で、今まで見た事ないような、でもずっと前から知っているような不思議な美しさで、もう完全に恋に落ちた!
でもそこから、嵐が丘でマヤの相手役だった真島くん状態(マヤを観るために劇場に通ってましたね)になることはなく、一度しか観なかったけど鮮烈に心に焼き付いてたのだが、数年振りにまた舞台で見たら・・・

彼女の周りだけ時が止まっていたのか?!?!
というくらい、全然変わっていなかった。
小屋の中は撮影禁止だけど、小屋の外から窓みたいに開いてる所があって、基本的に舞台裏みたいな所で準備とかしており、そこから写真左のように演者達がたまに顔を出したりしていた。

そのすぐ前ではおばちゃんがかの有名な「寄ってらっしゃい見てらっしゃい云々」の口上を繰り広げて、たまに「この蛇を食べるんだよぉ〜」と蛇を箱から取り出して「触ってみな!いいことあるよ!」とお客さんに触らせたりして、客はキャーキャー盛り上がる。
その場面が写真下。
(後で知ったけど、この日は前日にきゃりーぱみゅぱみゅがここの見世物小屋のことをツイートしたため、前日までの倍以上のお客さんの入りだったらしい。ほんとに満員電車状態の超ギュウギュウで、え〜!いつもこんなに混んでるのか?!と驚いたが、芸能人効果だった・・・)


で、たまにその窓からこんなふうに小雪ちゃんが愛想振りまいたり手を振ってくれたり・・・しあわせ・・・。
小屋の中の舞台ではかなりサッサカした雰囲気で、演目が終わったら強制的にお客が移動させられる慌ただしい感じなので、この小屋の外から見物してる方がゆっくり小雪ちゃんを見ていられた!

小雪ちゃんはじめ演者の皆さんは、キャラ設定のためか体力温存のためかわからないが、とにかく殆ど喋らない。結構長い間(1時間くらいか)あの場にいたけど、小雪ちゃんの声は一回も聴かなかった。それがまた妖しさを増す効果を生んでいるんだなーと改めて思った。

12月にこの見世物小屋・大川興業さんのドキュメンタリー映画が公開されるのだが(http://www.dokutani.com)、映画自体はものすごく楽しみなのだけど、もし万が一小雪ちゃんの素の部分とか出てきちゃったらどうしたらいいのか本気でわからない・・・。見たいような見たくないような、という感じ。

この大川興業さんが、今では日本に唯一残る見世物興行となってしまったのだが、小雪ちゃんや、写真撮ってないけど完全にギャル(しかもなぜかちょっと古いガングロメイク)のアマゾネス・ピョン子ちゃんらカワイイ新世代の女性達が入ってきていて、見世物小屋文化が過去の遺物じゃなく未来に繋がっていく希望がもてるのは、ほんと素晴らしいことだなと思う。
安易な耽美趣味や懐古趣味を越えた、現代だからこそ作り出せる新しい世界をこの人達なら見せてくれると信じてる!

まー、でもそんな私の個人的考えなんて吹き飛ぶ、強烈に猥雑でグチャグチャして笑いと狂気の見世物小屋世界だったな!
しかし、おばちゃん達が物凄く疲れてて(そりゃそうだよな〜!いきなり普段の倍以上のお客さん来ちゃって)、特に一人の舞台MC(「アナウンサー」と呼ばれていたが・・・)のおばちゃんが完全に喉が枯れてて、聴き取り辛いなんてもんじゃなく、ほぼ「多分これ、こう言ってるんだよな〜」と想像して聴かなければいけないほど声が出てなくて、胸が痛んだ。
まぁでも、そんな事慣れっこなのかもしれないが。


とにかくこの日は、久し振りに大川興業さんの見世物小屋そして小雪太夫の変わらない美しさが観られて本当に満足だった。
炎を吹く芸のお峰太夫さん(かなりご高齢でいらっしゃる・・・)の横で、蠟燭を用意したり火をつけたりするアシスタント的働きを小雪ちゃんがやっていたのだが、火を点け終わってお峰さんに渡してから、小雪ちゃんがちょっとぼうっとしていた時間があった。
その時の、薄暗い中で揺れる蠟燭の炎をじっと見ている小雪ちゃんの横顔、この世のものとは思えない妖しさだった。あんなに底なしの虚無感を映した人間の顔を今まで見たことがなかったので、本当にぞぉ〜〜〜っとした。



↓は、60年以上前からあるという看板絵。大川興業さんに現存するものの中で一番古いらしい。




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