前回の日記で2月を振り返ったけど、27日&28日という月末2日間で物凄いライヴを観ての2月締めくくりだった。
(旅人と石橋さんとカントゥスの絵描いてないので、描いたら載っけよう)
思えばちょうど1年前の2012年2月は、東京事変の解散ツアーのことで身も心もいっぱいいっぱいだったのでほとんどその記憶しかない(他のライヴとかイベントも行ってた気がするけど、思い出せない)。
今でもあの日々のことを思い出すだけでお腹のあたりがキューっとなるくらい、あんなにもチケットのことで奔走し、あんなにも1組のバンドに心乱された日々はなかった。
ほんと、御祭り騒ぎだったな。悲しい祭・・・。
今となっては、再生機器の中にしか存在しないのだ。
あの時は「今!今しかない!」という気持ちが強すぎて、先のことなんて全く考えられなかったが、1年後のこの時期に、全く違う種類ではあるがどこかで繋がっているような気もする素晴らしい音楽家達のライヴを、自然に音楽を楽しめる状態、去年みたいなきりきり舞いの状態ではない自分で観られたということが本当に幸せだった。
2月27日
渋さ知らズ 渋彩歌謡大全 at 渋谷クアトロ
ゲストに、サンディー様・渚ようこさん・坂本美雨ちゃん・Keyco・三上寛・遠藤ミチロウ
という、超豪華ライヴ!!!
http://tenshibu08.seesaa.net/article/335219500.html
↑当日の写真
渋さ知らズ初のカヴァーアルバム「渋彩歌謡大全」のレコ発ツアーで、ゲストヴォーカリストが全員集合するという信じられない濃い内容だった!
渋さだけでも充分すぎるほど濃いのに。
トップバッターは三上寛で、まだ渋さも登場する前の誰もいないステージでギターをかき鳴らしながら現れた。
それから渋さが「一週間のうた」などの曲をやって、ゲストヴォーカルのサンディー様がステージに呼ばれた。
サンディー様が、いきなり開口一番「あなた達(渋さのメンバー)、ちゃんとギャラもらってる?!」と言ってたが、まさに私も同じようなことを思ってしまった。
こんなに沢山のメンバーがいて、踊り子もいて、ゲストも大勢で、たったこれだけのお客さん(観てる方としては快適で大変ありがたいが、クアトロは狭すぎるんじゃないかと思った)のチケット代でまかなえるのだろうか?!と、余計な心配してしまうくらい、豪華なライヴだった。
ま〜そんな邪念(?)は、演奏が始まってしまえば一気に吹き飛んだ。
サンディー様の歌声を生で聴くのは初めてだったが、はじめに現れた瞬間パァ〜っと空気が変わって、最初はなんだか
「デヴィ夫人+叶恭子、プラス何かそれ以上の凄いもの・・・」
という印象だったけど(胸とスタイルがバーン!と凄いインパクトだったからかも)、歌やトークの甘い声を聴いている内に、心がマッサージされていくみたいになって、ああ〜こんな人が側にいたら、男だったらほんとに頭おかしくなりそうだな〜!!と、つくづく思った。
本当に可愛らしくて、愛とエロスの塊のような人だった。
アルバムでもカヴァーしている「恋はみずいろ」が本当に素晴らしくて、泣いた。
そしてその上、大好きな曲の「蘇州夜曲」がきて、もう本当に夢のようだった!
続くKeycoさんは知らない方だったけど、カヴァー曲がYEN TOWN BANDの「あいのうた」で、イントロからウワ〜〜〜ッとなって、あの旋律を渋さの素晴らしいミュージシャン達が奏でている・・・!ということだけで鳥肌がブワ〜っと立った。
(後で知ったけど、フジロックではCharaがヴォーカルで渋さとこの曲をやったんだよなァ〜!観たかった!!)
まったく初めて聴くKeycoさんの曲も素晴らしかったし、背景とか全然知らなくても「かなりの場数を踏んできた人なんだろうな〜」ということが感じられた。
そしていよいよ…!渚ようこ様・・・!!!
アルバム収録の「恋は夢色」で一気にようこさんワールドに会場が染まって、
「舟唄」はようこさんライヴでは既に定番の曲だけど、渋さ演奏ヴァージョンは、もう、本当〜〜〜に凄くて、一本の映画を観たような満足感だった。
別世界に行けた!
そして「カモネギ音頭」でまさかのコール&レスポンス(こんなのようこさんライヴで初めて聞いたなァ!と思ったら本人も「初めてやってみたいと思います」と仰っていた)、カワイイ振付けを一緒に踊って、楽しく終わった。
続いて遠藤ミチロウ登場!!!
いやーほんとマジ、凄かった・・・。
「メシ喰わせろ」も、「夢は夜ひらく」も・・・!
ミチロウは2曲なのかーと思って寂しく思ってたら、後からギターを抱えて再登場して、「天国の階段」をやった・・・!
スターリン狂だった東谷さんのことを思い出してグッときた。
東谷さんのことをきっかけにして、自分の人生で経験したすべての「出会ってから亡くなった人達」のことを想った1曲だった。思い出せる限り遡った。あの人にもあの人にも、今この歌が届いたらいいのにと思った。生きている人間の都合ではあるが。
ミチロウの後に坂本美雨ちゃんって、意外だな〜と思ったが、一気に空気がガラッとかわり、「渡」からの「ネバーエンディングストーリー」!ひたすら気持ち良かった〜〜〜。素晴らしい流れだった。
美雨ちゃんもライヴでは初めてだったけど、当たり前だがCDで聴く何倍も迫力があって深い声なんだなァ〜と思った。
私は渋さのライヴを3回程度しか観たことないし、曲名もほとんど憶えてないのでいわゆる「ファン」とは全く言えないが、観るといつもそのビジュアルイメージほど滅茶苦茶ではなく、「凄腕のミュージシャンがパッと集まってバシッと決めて、またパッと解散する」感じがカッコイイなぁ〜〜〜と思うし、そのプロの音楽家のカッコ良さと、サーカスや見世物小屋的世界(踊り子達や白塗りダンサーや舞台美術も含む)は小さい頃から憧れてきた世界そのもので、3回しか観たことない癖に、その世界観には懐かしささえ感じる。
そしてどんなバンドでも必ずある、「ファンだったらここはこうしなきゃいけない」とか「毎回来い」とかそういう暗黙のルールみたいな雰囲気が全然ないし、要するに本当に自由な空間だと思う。ただずっと下向いて踊ってるだけの人もいたし。
毎回必ずライヴに行く!っていうのじゃないけど、年に何回かは味わいたいなーと思う世界。
胸いっぱいに素晴らしい音楽に満たされて、ホクホクして帰った。
★
2月28日
七尾旅人・石橋英子「2人の音楽祭」
スペシャルゲスト・CANTUS at品川教会
まだ寒い教会の中で過ごした特別な時間!
この日のことは本当に一生忘れられないだろうなと思う。
旅人さんも石橋さんも、そしてカントゥスもそれぞれに大好きな音楽家たちだが、ただ「3組の力が合わさった」というだけじゃない、壮大な何かと繋がったように感じた夜だった。
でも本当は、すべての素晴らしい音楽がそうなんだろうなと思う。
まず石橋さんの、パイプオルガン演奏から始まって、神聖さと石橋さん独特の詩的な世界が混ざって、不思議な空間だった。その後から旅人が登場して、しばらく2人で演奏、その後に旅人のソロ、石橋さんとカントゥスも加わって、旅人がつい最近作ったばかりという新曲が披露。
旅人が2人の演奏から石橋さんが去ってソロになった後しばらくお喋りして笑いをとっていたが、「石橋さんがいると安心するというか、いるといないとじゃ全然違うんだよね〜」と言ってたけど、その後の完全1人のソロでは明らかに調子が悪そうで、そして後から石橋さんが戻ってまた2人になった時明らかに空気がガラっと変わったのがわかりやすかった。
でも、ファンの贔屓目とかじゃなく、「調子のよくない状態」の旅人もよかった。
「それなりにいい」とかではなく、「ダウナー版」として成立させていた。本当のプロってそういうことなんだなァとつくづく思った。
「(教会という聖なる場所だけど)おれは俗っぽいことばっかり歌ってるんで…」と言って歌いはじめた曲が、男女の別れのようなことがモチーフになってて、ダウナーな状態
の旅人ともシンクロして、かなり胸に迫った。
新曲「階段」は恋の始まりみたいな曲で、それもキュンキュンしたなァ〜。
目の前に情景が浮かぶ素晴らしい歌詞だった!
そして、2人とも一旦退場した後に、客席後方からカントゥスが歌いながら登場した。
いわゆる聖歌だと思って聴いていた曲が、旅人の作った曲だったと聞いてびっくりした。
そして、物凄かったのは、石橋さんとカントゥスと共に演奏されたもう一つの新曲、
「ぼくらのひかり」・・・!
1950年代から2011年までの、原子力と日本人の歴史をテーマにした曲だった。
歌詞は日本のどこかのとある村を舞台に、1人の少年から見た「原子力発電産業」を追い、原子力に人が夢見た世界を「ひかり」という言葉で象徴していた。
ポエトリーリーディング的な部分もあり、演劇的な要素のある曲だった。
このように冷静に書いているけど、実はまだあの時受けた衝撃を自分の中で整理できていない。
2011年のところでは、震災直後の気持ちをありありと思い出した。
そして、思い出したことによって自分が「忘れていた」こともわかった。
人間は忘れないと生きて行けないけど、旅人のように忘れないで、只々向き合い続けている人もいるんだなと思った。
そのことを音楽にしていく、そういう役割の人なんだなと思った。
あの物凄いステージに、普段喋ったり笑ったりする友達(カントゥスのメンバーの1人)が立って共演していたという事が本当に不思議だった。
そしてこの曲で私の涙腺スイッチが入り、1曲の間に本気でボロボロと泣き、続く「綿帽子」という曲も、曲の美しさに泣いた。
本気で泣くと鼻水の音とかほんとうるさいので我慢しながら観た。
最後は「Rollin' Rollin'」で、ラップのところ誰がやるんだろ?まさか石橋さん?と思っていたら、もっとまさかのカントゥスだった・・・!
本当に楽しく爽やかに終わり、この曲の力強さが改めてわかった。
楽しすぎて、ワクワクしすぎて、噫この時間が終わってほしくないよー!という気持ちでまた泣き、カントゥスの慣れないラップが可愛くて泣きながら笑った。
アンコールは時間の都合で無かったが、おそらくあんまりいじってはいけなそうな司祭服(?)を抱えた旅人が、スタッフの男子にも司祭服を着せてステージに現れ、「今日はありがとうございましたー!(こんなことやっちゃって)出入り禁止にならないかなー!」と挨拶して終わった。
そのスタッフの子、なんかすごく司祭服が似合っていた…。
終演後、カントゥスのみんなに挨拶に行った時、旅人や石橋さんもいて、
旅人が「財布なくした」とツイートしていて、はじめの方のMCで石橋さんに心配されていたりしたのだが、
「財布、見つかるといいですね…」と私が声かけたら「あー!今まで財布のこと忘れてたのにー!思い出させないでー!!」と言われて、マジごめんと思った。
カントゥスのみんなはいつも通り可愛くてキャッキャとしていて、さっきまで自分が号泣した、あんな凄いステージに立ってたのが信じられなかった。
帰りに、可愛いちびっこ達と、その子たちの素敵なお父様お母様たちと一緒にご飯を食べ楽しくて不思議な時間を過ごし、泣きすぎてまだショボショボする目で帰った。
何もかも夢の中みたいな不思議な夜だった。
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